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ヤコブ 3:3 口にくつわをはめるなら

εἰ δὲ τῶν ἵππων τοὺς χαλινοὺς εἰς τὰ στόματα βάλλομεν εἰς τὸ πείθεσθαι αὐτοὺς ἡμῖν, καὶ ὅλον τὸ σῶμα αὐτῶν μετάγομεν.

(口語訳) 馬を御するために、その口にくつわをはめるなら、その全身を引きまわすことができる。

εἰ /εἰ (もし) 条件節
δὲ /δέ (しかし) 接続詞
τῶν /ὁ, ἡ, τό (冠詞) 冠詞 所有格属格 複数男性
ἵππων /ἵππος, ου, ὁ (馬) 名詞 所有格属格複数男性
τοὺς /ὁ, ἡ, τό (冠詞) 冠詞 対格複数男性
χαλινοὺς /χαλινός, οῦ, ὁ (くつわ) 名詞 対格複数男性
εἰς /εἰς (~に) 前置詞
τὰ /ὁ, ἡ, τό (冠詞) 冠詞 対格複数中性
στόματα /στόμα, ατος, τό (口) 名詞 対格複数中性
βάλλομεν /βάλλω (投げる、置く) 動詞 現在能動直接 一人称複数
εἰς /εἰς (~に) 前置詞
τὸ /ὁ, ἡ, τό (冠詞) 冠詞 対格単数中性
πείθεσθαι /πείθω (納得させる) 動詞 現在受動不定
αὐτοὺς /αὐτός, αὐτή, αὐτό (彼、彼女、それ) 代名詞 対格複数男性
ἡμῖν /ἡμῖν (私たちに) 代名詞 一人称複数与格
καὶ /καί (そして) 接続詞
ὅλον /ὅλος, η, ον (全体) 形容詞 対格単数中性
τὸ /ὁ, ἡ, τό (冠詞) 冠詞 対格単数中性
σῶμα /σῶμα, ατος, τό (肉体) 名詞 対格単数中性
αὐτῶν /αὐτός, αὐτή, αὐτό (彼、彼女、それ) 代名詞 所有格属格 複数男性
μετάγομεν /μετάγω (移す、運ぶ) 動詞 現在能動直接 一人称複数


訳としては
「馬を従わせるために、口にくつわをかけるなら、その体全体をも動かす」
という感じでしょうか。

「βάλλομεν 投げる、置く」をどう訳すかですね。どうも口語訳は「置く」から「(くつわを)はめる」と訳しているようです。
「πείθεσθαι」は「納得させる」という語の受動なので「納得させられる」「(私たちに)従わせる」のような意味になるみたい。
「καὶ そして」がまた変なところに入ってます。これはまた「~も」という意味のようです。
口語訳では「ひきまわすことができる」という風に「できる」と意訳しています。「できる」という語はないけど、上記の「καὶ ~も」を訳しておけばニュアンスは伝わるかと。

口にくつわをかけるというのは、言葉において罪を犯さないようにすることの譬えでもある。
自制して悪口を言わないことを指すのでしょう。
このたとえは一章ですでに用意されています。

 (ヤコブ 1:26)
 もし人が信心深い者だと自任しながら、舌を制することをせず、
 自分の心を欺いているならば、その人の信心はむなしいものである。

舌を「制する χαλιναγωγῶν」という語は、くつわをかけるという語ですね。
ヤコブさんは「人の怒りは、神の義を全うするものではない」から、「語るに遅くあれ」と言ってます(ヤコブ 1:19-20)。
怒りにまかせて語ると、相手を罵倒してしまって、言葉の上で罪を犯すことになる。

ヤコブさんに言わせると、「自分は信心深い」と思っている者は、行いのなかで模範を示せということですね。
やもめや孤児を助けてあげること。世の汚れに染まらないこと(ヤコブ 1:27)。この汚れというのは、つまり罵倒し合うことでしょう。

でも、そうやって罵倒し合うのをやめるようにとだけ言ってるわけでもない。
それだけではない。
教会内のもめごとを通じてヤコブさんはそれらの問題がどこから来るのか考えている。そこには貧富の差もあったようです。
貧しい人々が日々の苦しい生活のなかでキリストを信じて教会にやってきている。
それなのに教会内で貧富の差から差別的な待遇を受けている。貧しさの背景には、律法の制限を守っているがゆえに経済的な競争で遅れをとっていたような事情があったのかも知れません。豊かな方の信徒は律法に対して自由主義的で、商売なんかで飛び回っていたのかも。
ヤコブさんとしては、これをどう解決すべきなのか考えたのではないでしょうか。
罵りあうのは良くない。でも、ひょっとすると口論の元になったのは貧しい人が「自分たちは冷遇されている」と抗議したことにあったのかも。
もしそうであれば、「罵りあうな、黙ってなさい」とだけ言うのでは、貧しい人たちはずっと差別的な待遇を受けつづけても、これに抗議できなくなるばかりで、事態は解決しません。
貧富の差はいかんともしがたいもの。
ならば、貧しい人々の尊厳を守るように行動を律して行くべきだと、ヤコブさんは考えたのかなと思います。

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