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大貫隆著『グノーシス 「妬み」の政治学』を読んだ。

大貫隆著『グノーシス 「妬み」の政治学』を読んだ。

久しぶりに刺激的な本だった。
何といてもマックス・ウェーバーを批判していて、ブルトマンにも触れている。それがとても美味しい。

グノーシスの神話はゴチャゴチャしていてどうも理解しづらいのですが、「妬み」という切り口で見ると、そこで問題にされていたものが見えてくるようです。
聖書学の本ばかり漁ってますが、ほかの古典とどうも接点が見つけられなかったので、広がりがなかったのですが、この本でその当時の周辺世界のつながり方が見えてきた感じです。フィロンなど同時代の哲学者や、そこからプラトンあたりへつながっていく道が見えた気がます。
僕はヤコブの手紙を読んでますが、「妬み」についてヤコブも語ってますし、ちょっとグノーシスとの関連を疑っている表現もあります(ヤコブ 4:5あたり)。ヤコブの手紙も、パウロ神学との関係だけで読むと煮詰まってしまうので、どこか別の切り口が欲しいなぁと感じてたところでした。「妬み」をどうヤコブがとらえているのかチビチビ読んでいこう。

マックス・ウェーバーは聖書学の専門家ではないけど、結構聖書学に影響を与えている。
旧約の研究者のG・フォン・ラートやM・ノートの学説に影響を与えていたりする。大貫氏自身も本書のあとがきのなかでウェーバーの『古代ユダヤ教』に「すっかり魅了され」たと書いている。
素人の僕なんかだと、まぁただただ圧倒されながら読むわけですが、さすがプロの人たちは研究成果から先人をきっちり批判します。
そういうのは格好良いです。
ウェーバーの影響は、グノーシス論についても大きい。大貫氏はウェーバーの論の中にねじれを見出だし、批判してます。

さらにブルトマンについては『ヨハネ福音書』の注解の序文を大貫氏が書いてますが、ほぼその内容を下敷きにしてるみたい。
ウェーバーと同じく、グノーシスを考察する際の考察にねじれが生じているという点ですね。
いくつかの点についてはすでにブルトマンの説は覆されているそうです。
ブルトマンの説についてあっているか、間違っているか、という話はまぁともかく。大貫氏の本の面白いところは、ざっくりとでもブルトマンの方法を辿ってくれるところだと思います。
ブルトマンとウェーバーについて、「宗教史学派」の系譜につながるものとして解説されている。

聖書学関係の本を買って、読んだけど、知識不足でまるで理解出来てないところがまだまだある。
ブルトマンの『ヨハネ福音書』の注解も、買っているけど、ちゃんと読んでない。勿体ない。
でも、今回ちょっとグノーシスのイメージができたので、読み直してみよう。

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