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シナイ写本

シナイ写本 ヤコブの手紙の冒頭あたり

シナイ写本
http://www.codexsinaiticus.org/en/

大英図書館が中心となってドイツ、ロシア、エジプトの大学や図書館が協力してネットで公開しているらしい。
シナイ写本というのは、四世紀に作られた写本で、シナイ山のカタリナ修道院でコンスタンティン・フォン・ティッシェンドルフによって発見されたもの。発見されたときは写本の価値を知らない修道士によって紙屑と一緒にかまどへくべられる寸前だったようです。
この写本の旧約聖書の一部は散逸しているが、新約聖書は全部残っているとのこと。
ギリシャ語新約聖書の大文字写本で完全な状態のものは、このシナイ写本だけしか残っていないそうです。

シナイ写本の本文の型は、アレクサンドリア・グループに属するが、後年に校訂を加えられてしまっている部分もあるとのことです。

そんなものがネットで手軽に読めるのか。凄いな。
キリスト教の貴重な遺産をありがたく読ませて頂きましょう。
拡大画像で見れるだけでなくて、ライティングを変えたり、右のカラムのギリシャ語テキストをクリックすると写本の当該個所が示されたり、翻訳がすぐ読めるようになっていたり(英訳はASVだろうか)と、便利です。

さっそくヤコブの手紙を見てみると、保存状態の良さに感動しました。
「神」「イエス」「キリスト」という名前は「ノミナ・サクラ」と呼ばれる略した書き方になってます。最初の文字と最後の文字だけに略して書いて目印に上腺がついてます。
見分けづらい文字があるなぁと感じます。Θ(テータ)とΟ(オミクロン)が結構見分けにくい。こうして写本を見るとアルファとデルタとラムダも似た文字だなと感じます。
あと、何だこの点はと思ってよく見るとεだったというのがいくつもありますね。
何でしょうこれは。
B.M.メツガーの「新約聖書の本文研究」に、写本を作る時に本文を読み上げる人がいて、それを聞きとって書いてゆく形で作業されていたとありました。そのなかで発音の仕方が変化してゆくとスペル間違いが生じたと書かれていましたが、このεはそのスペル間違いを後から補足したものなのだろうか。

B.M.メツガーの「新約聖書の本文研究」はかなり面白い本です。
写本の製本について、重要な写本の紹介や、テクストゥス・レセプトゥスと呼ばれるあまり質のよくない本文が公認され流布してしまったこと、またその本文が質が良くないことを立証してゆき正文批判の研究が発展していく流れが解説されています。

写本の複製と異読。写本の系統をしらべて、どの本文がオリジナルなのか再構成する。
この研究は、まるっきり進化論的な世界です。
遺伝子をコピーし、エラーが生じて、それがそのまま複製されたり、ときに進化してしまって、新しい要素が加わってしまう。
その進化をたどる作業に似ている。

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