« ヤコブ 1:17 | トップページ | ヤコブ 1:17 についての雑感 »

バート・D. アーマン著「捏造された聖書」を読んだ

バート・D. アーマン(Bart D. Ehrman)の「捏造された聖書」を読んだ。
本のタイトルは陰謀説臭くて怪しいが、本の内容は学問的で安心して読めます。

原題は「Misquoting Jesus」(イエスの誤引用)です。
このタイトルは、新約聖書の多くの写本が書き写されるときのミスから本文が微妙に違ってしまっていることに由来しています。
アーマン青年は、「聖書は無謬なる神の御言葉である」と熱意に燃えて聖書を研究をはじめます。
しかし、聖書の写本には上記のように膨大な相違があり、肝心のオリジナルがどのような本文であったのか判然としない。
これはゆゆしき問題だと、アーマン氏は本文批判の研究の道に入って行きます。
B.M.メツガーの指導も受けてるようです。凄いな。

彼は文章が巧いので、アーマン氏の半生記としても魅力的な本になってます。
正文批判の研究をたどりながら、同時に福音主義の信仰を保つのにアーマン氏が苦悩する様子が描かれています。
若い頃には性急にオリジナルの本文を求めて、写本をミスる書記への苛立ちがあったようですが、そのミスはどのようにして生じたのかという研究を通じて徐々に感情的に和解していくのが心地よい。
誤引用や改ざんが多いということについて、古代の教父や護教家が文句を書き遺しているものを紹介していますが、それらの顛末にも、温かい愛情を感じているようです。

写本が書かれた初期の教会の状況の説明が分かりやすく、教会内の論争や、教会外部からの批判など、当時のようすが読みやすい文体で書かれていて参考になります。

本書のなかには、ほとんど「捏造」という言葉は出てこない。
でも、一か所だけ(ほかにもあったかな?)「捏造」という語が印象的に用いられている部分があります。(p272)
膨大な数の写本の、一語一句の意味に取り組む研究者としての「福音書を読むということはどういうことなのか」について鋭い批判が感じられる一節です。
何といってるのかについては、…実際に読んでもらった方が面白いので引用しません。

|

« ヤコブ 1:17 | トップページ | ヤコブ 1:17 についての雑感 »

書籍・読んだ本のレビューなど」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: バート・D. アーマン著「捏造された聖書」を読んだ:

« ヤコブ 1:17 | トップページ | ヤコブ 1:17 についての雑感 »